一般貨物の営業所・車庫を契約する前に確認すべきこと|埼玉の運送業専門行政書士が解説
営業所や車庫は、契約する前の確認が重要です。
一般貨物自動車運送事業の新規許可では、営業所・休憩(睡眠)施設・車庫が許可要件を満たしていなければなりません。契約後に問題が判明すると、物件の変更、契約のし直し、図面や資金計画の修正が必要になり、緑ナンバーで運送を開始する時期が遅れるおそれがあります。

営業所や車庫については、土地・建物の関係法令、営業所と車庫の位置関係、車庫の広さ、前面道路、使用権原、賃貸借契約の内容など、申請前に確認しておきたい事項が数多くあります。
一般貨物の営業所・車庫を契約する前に確認したい7つのポイント
- 営業所として使用できる土地・建物か
- 休憩(睡眠)施設を適切に確保できるか
- 車庫の広さ・位置・出入口などに問題がないか
- 営業所と車庫の距離が基準を満たしているか
- 使用予定車両が車庫の前面道路を通行できるか
- 契約内容が許可申請の事業計画と合っているか
- 書類・図面と実際の現地状況が一致しているか
営業所だけ、車庫だけを個別に見るのではなく、営業所・休憩(睡眠)施設・車庫・前面道路・契約内容を一つの事業計画として確認することが大切です。
物件情報だけで許可の可否は判断できません
「広い駐車場だから車庫にできる」「事務所として貸してもらえるから営業所にできる」とは限りません。候補物件について、少なくとも次の項目を組み合わせて確認する必要があります。
都市計画法、建築基準法、農地法など
契約者、使用目的、期間、使用範囲
全車両の収容、間隔、他用途との区分
幅員、車両制限令、旋回・通行の可否
寸法、境界、撮影方向、資料間の整合
先に契約書へ署名・押印するのは危険です
候補物件が見つかった段階で確認すれば、契約条件の調整や別物件の検討ができます。契約後では、許可が下りるまで賃料だけが発生する可能性があります。
1.営業所の主な要件
運送事業を管理する場所として使用できること
営業所は、運行管理や事業運営を行う実体のある場所でなければなりません。机・椅子・電話・パソコンなど、営業所として必要な備品が備えられ、営業所の範囲が図面や写真で確認できる状態にします。
申請者に使用権原があること
自己所有の場合は登記事項証明書など、借りる場合は賃貸借契約書などによって使用権原を確認します。関東運輸局の細部取扱いでは、借入れの場合は概ね2年以上の契約期間が基準とされ、2年未満でも契約満了時に自動更新される場合は使用権原の裏付けとして扱われます。
契約書の借主が代表者個人や別会社になっている場合、申請会社が使用できる根拠を別途整理しなければならないことがあります。
関係法令に抵触しないこと
都市計画法、建築基準法、農地法などの関係法令に抵触しないことが必要です。市街化調整区域や用途地域による制限のほか、プレハブ、コンテナ、トレーラーハウスを営業所として使用する計画では、建築物としての取扱いを含めて自治体への事前確認が重要です。
2.休憩(睡眠)施設の主な要件
乗務員が有効に利用できる休憩施設を設けます。営業所と同じ建物内に設ける場合でも、営業所部分と休憩施設部分の範囲が分かるように整理します。
睡眠施設は、すべての事業者が必ず設けるものではありません。乗務員に睡眠を与える必要がある場合に設け、同時に睡眠する乗務員1人当たり2.5㎡以上の広さを確保します。睡眠施設を設けない場合も、事業計画上、その有無を明確にします。
椅子やソファなどの休憩用備品、睡眠施設を設ける場合の寝具など、実際に利用できる状態が写真で確認できることも大切です。
営業所・休憩(睡眠)施設を詳しく知りたい方へ
営業所の広さ、市街化調整区域、自宅・プレハブ、休憩施設と睡眠施設の違いについては、一般貨物の営業所・休憩睡眠施設の要件とは?で詳しく解説しています。
3.車庫の主な要件
4.営業所と車庫の距離が基準を満たしているか
営業所と車庫はセットで検討します
車庫は原則として営業所に併設します。併設できない場合、埼玉県内に営業所を設置する計画では、営業所と車庫の距離を10km以内とする必要があります。距離だけでなく、車庫と営業所が常時密接な連絡を取れる体制、点呼を行う場所、管理者や運転者の移動方法も計画に関係します。
全車両を収容でき、50cm以上の間隔があること
計画する事業用車両のすべてを収容できる広さが必要です。車両と車庫の境界、車両相互の間隔は、それぞれ50cm以上確保します。単純に土地全体の面積を見るのではなく、各車両の長さ・幅と配置を図面に落として確認します。
車庫面積に含められない部分にも注意
資材置場、自家用車の駐車部分、プレハブなど、事業用車両を実際に収容できない部分を車庫面積に含めることはできません。他社の車両や別用途の部分と混在する場合は、使用範囲を明確に区分します。
土地を車庫として使用できること
営業所と同様に、申請者が土地を使用できる契約になっており、関係法令に抵触しないことが必要です。登記上の地目が田・畑の場合は農地転用手続の確認が必要になることがあります。
5.使用予定車両が前面道路を通行できるか
車庫の前面道路は、原則として道路幅員証明書または幅員が車両制限令に抵触しないことを証する書類により確認します(前面道路が国道の場合を除きます)。必要な幅員は、道路の種類、通行する車両の幅、道路形状などによって変わるため、単に「○mあれば必ず大丈夫」とは判断できません。
また、道路幅員を満たしていても、出入口が狭い、電柱などの障害物がある、車両が曲がり切れないといった問題があれば、実際の出入りに支障が生じます。使用予定車両を前提に、出入口、進入経路、旋回方法まで確認します。
前面道路が私道の場合は、私道を通行する権原や承諾、その先の公道の状況についても確認が必要です。
前面道路の幅員を詳しく知りたい方へ
「何m必要か」「6.5mの考え方」「道路幅員証明・私道・大型車通行禁止」については、一般貨物の車庫は前面道路の幅員に注意|何mあればいい?で詳しく解説しています。
前面道路が狭い場合はこちら
車両制限令と通行認定の考え方については、一般貨物の車庫の前面道路が狭い場合はどうする?で詳しく解説しています。

6.契約内容が許可申請の事業計画と合っているか
物件そのものに問題がなくても、契約書の内容が不十分だと使用権原を説明できません。契約前に、次の点を確認します。
- 借主が許可申請を行う法人・個人と一致しているか
- 営業所、休憩施設、車庫として使用できる目的になっているか
- 所在地、地番、建物名、部屋番号が正しいか
- 使用する建物・土地の範囲と面積が明確か
- 必要な契約期間または自動更新の定めがあるか
- 転貸の場合に所有者の承諾が確認できるか
- 賃料、使用料、契約日、契約期間が記載されているか
「事務所として使用可能」と口頭で了承を得ただけではなく、契約書や使用承諾書などの書面で説明できる状態にすることが重要です。
7.書類・図面と現地状況が一致しているか
平面図・求積図には、営業所、休憩(睡眠)施設、車庫の使用範囲、境界、寸法、面積を記載します。写真は一方向だけでなく、外観、入口、内部、備品、区画、車庫出入口、前面道路が分かるように撮影します。
提出資料を分かりやすく整理する実務上の方法として、写真に番号を付け、図面上に撮影位置と撮影方向を示すと、「どこを、どの方向から撮影した写真か」が明確になります。
1か所を直したら、関連資料も確認します
所在地や面積を修正した場合、申請書だけでなく、事業計画、契約書、図面、写真、資金計画などにも影響します。一部だけを修正すると、資料間の不一致によって追加確認が必要になることがあります。
営業所・車庫を契約してから問題が分かるとどうなる?
関係法令等を確認した結果、その計画では使用が難しいことが判明し、別の営業所を探す可能性があります。
使用予定車両との関係で問題が判明し、車両計画や車庫そのものを再検討する可能性があります。
契約当事者、使用目的、使用範囲などが一致せず、契約の見直しや追加書類が必要になる場合があります。
車庫として使用できる範囲や出入口などについて、現地確認後に再検討が必要になる場合があります。
このような問題は、物件だけでなく、車両の準備、人員の採用、資金計画、緑ナンバーで運送を開始する時期にも影響します。だからこそ、物件の「契約前」に確認することが重要です。
一般貨物の営業所・車庫|契約前チェックリスト
□ 営業所として使用できる土地・建物か確認した
□ 土地・建物に関係する法令を確認した
□ 休憩(睡眠)施設を適切に確保できる
□ 営業所と車庫の位置・距離を確認した
□ 計画するすべての車両を車庫に収容できる
□ 車両相互・境界との必要な間隔を確保できる
□ 車庫として使用する範囲と出入口が明確になっている
□ 前面道路の幅員等を確認した
□ 使用予定車両が前面道路を通行できるか確認した
□ 契約当事者、使用目的・範囲、契約期間を確認した
□ 書類・図面と実際の現地状況を確認した
一つでも判断できない項目がある場合は、物件を契約する前に確認することをおすすめします。
埼玉県で一般貨物の営業所・車庫を探している方へ
埼玉県で一般貨物自動車運送事業の新規許可を取得する場合も、土地・建物の関係法令、営業所と車庫の位置関係、車庫の広さ、前面道路、使用権原、契約内容、現地状況を確認してから契約へ進むことが重要です。
島岡事務所では、土地・建物の関係法令調査、前面道路の幅員調査、現地調査、契約内容と許可要件の確認を行い、営業所・休憩(睡眠)施設・車庫・車両・人員・資金を一体で整理します。
物件をまだ契約していない段階でもご相談いただけます。候補物件の資料や使用予定車両が分かれば、確認すべき事項をご案内します。
一般貨物の営業所・車庫についてよくある質問
Q1.営業所や車庫がまだ決まっていなくても相談できますか?
はい。むしろ正式に契約する前のご相談をおすすめします。候補物件の所在地、物件資料、契約書案、使用予定車両などをもとに、確認項目を整理します。
Q2.現在、運送会社が使っている車庫なら、そのまま使えますか?
自社の新規許可でも必ず使用できるとは限りません。車両の台数・寸法、営業所との位置関係、前面道路、使用範囲、契約内容などは会社ごとに異なるため、今回の事業計画に基づいて確認します。
Q3.埼玉県では営業所と車庫を別の場所にできますか?
一定の要件を満たせば可能です。埼玉県内に営業所を設置する計画では、営業所と車庫の距離を10km以内とする必要があります。営業所だけを先に決めず、車庫までセットで検討することが重要です。
Q4.広い駐車場なら一般貨物の車庫として使えますか?
広さだけでは判断できません。全車両の収容、50cm以上の間隔、他用途との区画、出入口、前面道路、使用権原、関係法令を確認します。
Q5.車庫の前面道路は何mあれば大丈夫ですか?
一律には判断できません。道路幅員だけでなく、使用する事業用自動車の幅や道路の状況などを踏まえ、車両制限令等との関係を確認します。
Q6.不動産会社から「事務所・駐車場として使える」と言われれば大丈夫ですか?
それだけでは許可要件を満たすとは判断できません。不動産として賃貸できることと、一般貨物の営業所・車庫として許可申請に使用できることは別です。
Q7.賃貸借契約書があれば使用権原は問題ありませんか?
契約書があるだけでは判断できません。契約当事者、対象物件、使用目的・範囲、契約期間などが事業計画と一致しているか確認します。
Q8.候補物件を見つけたら、まず何をすればよいですか?
契約前に、所在地、土地・建物の資料、賃貸条件、車庫の広さ・配置、前面道路、使用予定車両を整理し、許可要件を満たせる計画か確認します。そのうえで必要に応じて現地を確認し、問題がないことを確認してから契約へ進みます。
車庫の広さも契約前に確認しましょう
参考面積だけでなく、車両相互間・車庫境界との50cm以上の間隔や実際の車両配置も重要です。一般貨物の車庫に必要な広さ・50cm間隔はこちらで詳しく解説しています。
物件選びで迷ったら、契約前にご相談ください
当事務所の新規許可トータルサポートでは、書類チェック、不足書類のご案内、今後の動き方と準備順序のご案内、土地・建物の関係法令調査、前面道路の幅員調査、現地調査、各種契約書の確認、必要資金の計算、申請書作成・提出、審査中の補正対応を一体的に行います。
さらに、法令試験の教材・過去問題・条文集等の提供、6時間の法令試験対策セミナー、合格に向けた家庭教師形式の個別指導、許可後から緑ナンバーで運送を開始するまでの各種手続、全体のスケジュール管理まで支援します。
書類をお渡しいただくだけの申請代行ではありません。「この物件を契約して大丈夫だろうか」という段階からご相談いただけます。
※本記事は、2026年9月4日時点で公表されている関東運輸局の「許可申請の処理方針」「同細部取扱」(令和7年8月1日改正)および埼玉運輸支局の申請案内を確認し、一般的な考え方を説明したものです。個別の可否は、所在地、物件、車両、契約内容、管轄運輸支局や自治体の確認結果などによって異なります。申請時点の最新基準をご確認ください。


