リース車両で一般貨物新規許可を申請する際の注意点|契約書・名義・緑ナンバーまで解説
一般貨物自動車運送事業の新規許可では、自社で購入した車両だけでなく、リース車両を使用して申請することも可能です。
しかし、ここで注意したいのが、
「リース車両だから申請できる」ということと、「現在のリース契約の内容で申請できる」ということは別
という点です。
一般貨物の新規許可では、申請者が事業用自動車を継続して使用できること、つまり車両の使用権原を確認されます。
そのため、リース車両を使用する場合は、車検証だけでなく、
- リース契約書の契約者(賃借人)は誰か
- 契約期間はどのくらいか
- どの車両についての契約なのか
- 一般貨物の事業用自動車として使用できる契約になっているか
- 車検証の所有者・使用者とリース契約の関係に問題がないか
といった点まで確認しておく必要があります。
特に注意したいのが、車検証の使用者は申請会社になっているのに、リース契約書を確認すると賃借人が代表取締役個人になっているケースです。
この記事では、一般貨物自動車運送事業の新規許可をリース車両で申請する場合に、契約前・申請前に確認しておきたいポイントを、実務上の注意点も含めて解説します。
リース車両でも一般貨物新規許可は申請できる
一般貨物自動車運送事業の新規許可では、必ずしも申請会社が車両を所有している必要はありません。
リース車両であっても、申請者がその車両を継続して使用できることを確認できれば、申請に使用することができます。
重要なのは、「誰が所有しているか」だけではなく、「申請会社にその車両を使用する権原があるか」という点です。
リース車両の場合は、原則としてリース契約書などによって、その使用権原を確認することになります。
リース契約期間は「概ね1年以上」
一般貨物の新規許可でリース車両を使用する場合、契約期間にも注意が必要です。
関東運輸局の一般貨物自動車運送事業の許可申請に関する取扱いでは、リース車両について、契約期間が概ね1年以上であることが使用権原を判断する際の基準となっています。
そのため、
「車両が確保できているから大丈夫」
と考えるのではなく、リース契約書に記載された契約期間まで確認することが重要です。
一般貨物の許可申請ではリース契約書のどこを確認する?
リース契約書は、「契約書が存在するか」だけを確認すればよいわけではありません。
一般貨物の新規許可を前提として、契約内容そのものを確認する必要があります。
① リース契約の契約者(賃借人)は誰か
まず確認したいのが、リース契約書の賃借人です。
申請者が法人であれば、リース契約上の賃借人も申請法人となっているか確認します。
ここは非常に重要です。
会社で使用している車両であっても、契約書を見ると、
賃借人:代表取締役個人
となっていることがあります。
実際に会社が使用しているという事実だけではなく、契約上、誰がその車両を借りているのかまで確認する必要があります。
② 会社が連帯保証人でも「賃借人」とは別
さらに注意したいのが、
賃借人:代表取締役個人
連帯保証人:申請会社
という契約です。
この場合、申請会社の名前が契約書に記載されているため、一見すると問題がないように見えるかもしれません。
しかし、連帯保証人として契約に入っていることと、車両の賃借人であることは別です。
一般貨物の新規許可では、申請法人がその車両を使用する権原をどのように有しているのかを確認する必要があります。
代表者個人が賃借人になっているから直ちに申請できないと断定するものではありませんが、申請法人の使用権原をどのように確認できるのか整理し、必要に応じてリース会社への確認や契約内容の見直しを行う必要があります。
③ 契約の対象車両を特定できるか
リース契約書から、申請に使用する車両を特定できるかも確認します。
車名だけではなく、車台番号や登録番号など、申請車両とリース契約の対象車両との対応関係が分かるかを確認しておきましょう。
④ 契約期間を確認する
前述のとおり、リース車両については契約期間も重要です。
契約開始日・契約終了日、自動更新の有無などを確認し、一般貨物の許可申請で求められる使用期間を満たしているか確認します。
⑤ 事業用自動車として使用できるか確認する
現在、自家用車としてリースしている車両を、許可取得後に一般貨物の事業用自動車として使用する場合は、事業用としての登録に対応できる契約なのかも確認しておきたいところです。
契約を締結してから問題が判明すると、リース会社との調整や契約変更などが必要になり、許可申請や運輸開始のスケジュールに影響する可能性があります。
車検証の「所有者」「使用者」もリース契約書と一緒に確認する
リース車両の場合、車検証では一般的に、
所有者:リース会社
使用者:申請会社
となっているケースがあります。
ここだけを見ると、
「使用者が申請会社だから問題ない」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、一般貨物の新規許可では、車検証だけで判断せず、リース契約書と照合することが重要です。
車検証とリース契約書の内容に違いがある場合には、その関係を確認する必要があります。
要注意|車検証の使用者が申請会社でも安心できないケース

例えば、次のようなケースです。
車検証だけを確認すると、使用者が申請会社なので問題がないように見えます。
ところが、リース契約書では車両を借りているのは代表取締役個人です。
さらに、申請会社は契約に入っていても「連帯保証人」という立場です。
このようなケースでは、
「車検証の使用者が会社だから大丈夫」
と判断するのではなく、申請法人が車両を使用する権原をどのように有しているのかを確認する必要があります。
一般貨物の新規許可をリース車両で申請するときは、
車検証とリース契約書をセットで確認する
ことが重要です。
リース契約を締結した後に問題が分かったら?
すでにリース契約を締結していて、契約内容に問題が見つかったからといって、直ちに一般貨物の新規許可を申請できなくなるとは限りません。
まずは、
- 現在の契約内容
- 車検証の所有者・使用者
- 実際の車両使用関係
- リース会社の取扱い
などを確認します。
そのうえで必要があれば、リース会社に相談し、契約内容の見直しや必要書類について確認します。
ただし、契約後に問題が判明すると、契約変更や書類の取り直しなどが必要になる可能性があります。
そのため、一般貨物の新規許可では、
「契約してから許可要件を確認する」のではなく、「許可要件を確認してから契約する」
ことが重要です。
これは車両だけではありません。
営業所、休憩(睡眠)施設、車庫についても、契約後に許可要件を満たしていないことが分かると、物件の変更や契約の見直しなど、大きな手戻りになる可能性があります。
営業所・車庫についても、正式に契約する前に許可要件を確認しておくことが重要です。
一般貨物の許可後はリース車両を事業用自動車として登録する

一般貨物の新規許可を取得しただけでは、まだ営業を開始することはできません。
許可取得後、申請した車両について事業用自動車としての登録(いわゆる緑ナンバーへの変更)を行い、運行管理者・整備管理者関係の届出など、運輸開始(営業開始)に向けた手続を進めます。
リース車両の場合は所有者がリース会社となるため、契約前の段階で、一般貨物自動車運送事業の事業用自動車として使用する予定であることをリース会社に伝え、必要な手続や書類を確認しておくことをおすすめします。
なお、関東運輸局の現行の処理方針では、一般貨物自動車運送事業の新規許可の標準処理期間は3~5か月とされています。
この3~5か月は、適法な申請を通常処理するための標準的な期間です。
申請書の不備を補正するために要する期間、申請内容を変更するために必要な期間、法令試験で1回目に合格基準へ達しなかった場合の再受験までの期間などは、標準処理期間には含まれません。
したがって、申請準備から実際の運輸開始(営業開始)までの期間を考える場合には、標準処理期間だけでなく、申請前の準備や許可後の登録・届出に要する期間も考えておく必要があります。
一般貨物の新規許可の要件から許可後の運輸開始までの流れについては、新規許可の総合ページでも詳しく解説しています。
リース料は一般貨物新規許可の資金計画にも関係する

リース車両を使用する場合は、契約内容だけでなく資金計画にも注意が必要です。
一般貨物の新規許可では、事業開始に必要となる資金を計算し、それを上回る自己資金を確保していることを確認します。
関東運輸局の申請書作成上の取扱いでは、リース車両について、リース料の1年分を車両費として計上します。
例えば、
月額リース料10万円 × 12か月 × 5台
であれば、
600万円
を資金計画に計上することになります。
そのため、
「車両を購入しないから、リースなら資金はあまり必要ない」
とは限りません。
一般貨物の新規許可では、車両費だけでなく、人件費、燃料費、施設使用料、保険料なども含めて必要資金を計算します。
リース車両を何台使用するのか、月額リース料はいくらなのかによって、必要となる自己資金も変わってきます。
一般貨物新規許可の資金要件や残高証明については、こちらの記事で詳しく解説しています。
リース車両を契約する前のチェックリスト

一般貨物の新規許可を予定している場合は、リース契約を締結する前に、少なくとも次の点を確認しておきましょう。
- 契約者(賃借人)が申請法人になっているか
- 契約書から対象車両を特定できるか
- 契約期間が概ね1年以上あるか
- 車検証の所有者・使用者を確認したか
- 事業用自動車として使用できる契約か
- 許可後の事業用自動車としての登録に対応できるか
- リース料1年分を資金計画に反映しているか
- その他、契約上の制限や条件に問題がないか
特に重要なのは、契約書を締結する前に確認することです。
一般貨物の新規許可では、車両だけでなく営業所・休憩(睡眠)施設・車庫などについても、契約後に問題が判明すると、申請スケジュールや費用に大きな影響が出る可能性があります。
リース車両による一般貨物新規許可のよくある質問
Q1.リース車両でも一般貨物の新規許可を取得できますか?
はい。リース車両でも申請できます。
ただし、申請会社がその車両を継続して使用できることを確認できる必要があります。リース契約書の契約者、契約期間、対象車両などを確認しておきましょう。
Q2.リース期間は何年以上必要ですか?
関東運輸局の取扱いでは、リース車両について概ね1年以上の契約期間が使用権原を判断する際の基準となります。
契約書に記載された契約開始日・終了日などを確認してください。
Q3.社長個人名義でリースしている車両でも申請できますか?
代表者個人が賃借人になっているという理由だけで、ここで一律に申請できないと判断することはできません。
ただし、申請者が法人である以上、申請法人がその車両を使用する権原をどのように有しているのかを確認する必要があります。
申請前にリース会社への確認や契約内容の見直しが必要になる場合があります。
Q4.会社が連帯保証人になっていれば問題ありませんか?
連帯保証人であることと、リース契約上の賃借人であることは同じではありません。
「会社名が契約書に書いてあるから大丈夫」と判断せず、会社が契約上どのような立場になっているのかを確認することが重要です。
Q5.車検証の使用者が申請会社なら問題ありませんか?
車検証だけで判断することはおすすめできません。
車検証の使用者が申請会社であっても、リース契約書の賃借人が代表者個人など、契約関係が異なっている場合があります。
車検証とリース契約書を一緒に確認することが重要です。
Q6.申請時から緑ナンバーになっている必要がありますか?
新規許可申請の段階で、これから使用する車両がすでに緑ナンバーである必要はありません。
許可取得後、必要な手続を経て、事業用自動車として登録し、運輸開始(営業開始)に向けた準備を進めます。
Q7.リース料は一般貨物の資金計画に入りますか?
はい。
関東運輸局の申請書作成上の取扱いでは、リース料の1年分を車両費として計上します。
使用するリース車両の台数が多い場合は必要資金にも大きく影響するため、契約前に資金計画まで確認しておくことが重要です。
まとめ|一般貨物のリース車両は「契約前」の確認が重要
リース車両でも、一般貨物自動車運送事業の新規許可を申請することは可能です。
ただし、
リース車両を用意した=そのまま許可申請に使用できる
とは限りません。
特に確認したいのは、
- リース契約の賃借人
- 契約期間
- 対象車両
- 車検証の所有者・使用者
- 事業用自動車として使用できるか
- リース料を含めた資金計画
です。
車検証の使用者が申請会社になっていても、リース契約書を確認すると賃借人が代表取締役個人になっていることもあります。
一般貨物の新規許可を予定している場合は、車両を契約してから確認するのではなく、契約前に許可要件との整合を確認しておくことが重要です。
一般貨物の新規許可を検討されている方へ
当事務所では、一般貨物自動車運送事業の新規許可について、申請書の作成だけでなく、契約前の営業所・車庫・車両の確認、資金計画、法令試験対策から許可後の手続までサポートしています。
「このリース契約で新規許可を申請できるのか確認したい」
「これからリース車両を契約するので、契約前に確認してほしい」
という段階からご相談いただけます。

