一般貨物の運行管理者・整備管理者・運転者の要件とは?新規許可に必要な人員を解説【埼玉】

一般貨物自動車運送事業の新規許可では、営業所や車庫、車両、資金だけではなく、事業を開始するための「人」を確保できるかも重要な許可要件です。

特に確認しておきたいのが、次の3つです。

  • 運行管理者
  • 整備管理者
  • 運転者

「トラックを5台用意すれば、運転者も5人いればよいのか」「社長が運行管理者になってもよいのか」「運行管理者の資格を持っている人がいない場合はどうするのか」「整備管理者には整備士資格が必要なのか」といったご相談も少なくありません。

一般貨物の新規許可では、車両だけ先に準備しても、必要な人員体制が整わなければ事業を開始することはできません。

この記事では、埼玉県で一般貨物自動車運送事業の新規許可を検討している方に向けて、運行管理者・整備管理者・運転者の要件と、いつまでにどのような人員を準備すればよいのかを解説します。

一般貨物新規許可では「人」の要件も確認される

関東運輸局の一般貨物自動車運送事業の許可基準では、適正な事業運営のため、事業計画を遂行するために必要な運転者を常時確保できること必要な人数の常勤の運行管理者を確保する管理計画があることが求められています。

さらに、点検・整備管理体制として、必要な常勤の整備管理者を確保する管理計画も必要です。

つまり、新規許可では単に「資格を持っている人が誰かいる」というだけでは足りません。実際にその営業所で勤務し、運行管理・整備管理・運転業務を行える体制として計画する必要があります。

まず押さえたい3つの人員

人員 主な役割
運行管理者 点呼、運転者の勤務・乗務管理、指導監督、安全運行の管理
整備管理者 車両の点検・整備管理、日常点検、運行可否の判断等
運転者 事業用自動車を実際に運転して貨物を運送

この3者には、それぞれ異なる要件があります。

運行管理者とは?

運行管理者は、トラックの安全運行を管理する重要な責任者です。

主な業務には、次のようなものがあります。

  • 運転者に対する点呼
  • 疲労・疾病・睡眠不足等の確認
  • 酒気帯びの有無の確認
  • 乗務割の作成
  • 運転者に対する指導・監督
  • 運行指示
  • 運転者の勤務時間・乗務時間の管理

国土交通省も、運行管理者を事業用自動車の安全運行を管理する者として位置付けています。

運行管理者は何人必要?

一般貨物の場合、営業所ごとに配置する事業用自動車の台数に応じて運行管理者の最低人数が決まります。

  • 29両まで:1人
  • 30~59両:2人
  • 60~89両:3人

このように、原則として30両ごとに1人ずつ増えていきます。

なお、運行管理者の人数を計算する場合、被けん引自動車(トレーラー)は除いて計算します。貨物自動車運送事業輸送安全規則第18条に規定されています。

一般貨物の新規許可を5台で開始する場合であれば、通常は運行管理者1人以上が必要になります。

運行管理者になるには?

一般貨物の運行管理者として選任されるためには、原則として「貨物」の運行管理者資格者証の交付を受けている必要があります。

資格者証を取得する方法には、大きく2つあります。

方法1 運行管理者試験に合格する

一般的なのはこちらです。

運行管理者試験の受験資格は、運行管理に関して1年以上の実務経験がある、または貨物の基礎講習を修了、または所定の期限までに修了するのいずれかです。

これから運送業に参入する人で運行管理の実務経験がない場合は、基礎講習を受講 → 運行管理者試験 → 合格 → 資格者証の交付という方法が一般的です。

運行管理者は試験を受けなくてもなれる?実務経験で取得する方法

ここは意外と知られていません。

貨物の運行管理者資格者証には、運行管理者試験を受験せず、実務経験等によって資格者証の交付を受ける方法があります。

国土交通省の現在の制度では、運行管理に関して5年以上の実務経験があり、その実務経験期間中に、運行管理に関する講習を5回以上受講していることが必要です。

さらに、その5回のうち少なくとも1回は基礎講習を受講している必要があります。

実務経験ルートの基本イメージ

  1. 基礎講習を受講
  2. 運行管理補助者として選任される
  3. 実際に運行管理業務を補助する
  4. 5年以上の実務経験を積む
  5. その間に所定の講習を5回以上受講する
  6. 実務経験を証明して運行管理者資格者証を申請

関東運輸局管内の案内でも、実務経験とは、基礎講習を受講して運行管理補助者として選任され、実際に運行管理に携わっていた経験として案内されています。

一般貨物の運行管理者資格者証を5年以上の実務経験と講習で取得する流れ

講習を同じ年に5回受ければよいわけではない

ここは非常に重要です。

実務経験によって資格者証を取得する場合、講習は5回以上必要ですが、同一年度(4月~翌年3月)に複数回講習を受講しても、原則として1回として扱われます。

したがって、「今年中に講習を5回受ければ実務経験ルートを完成できる」という制度ではありません。そもそも5年以上の実務経験が必要なため、長期間かけて運行管理の経験を積む制度です。

新規許可のために今から実務経験ルートを使うのは難しい

これから一般貨物の新規許可を取得する会社が、「社内に資格者がいないので、社員を今から実務経験で運行管理者にしよう」と考えることがあります。

しかし、実務経験ルートには5年以上必要です。そのため、数か月後に予定している新規許可申請の運行管理者を確保する方法としては、通常は間に合いません。

実務経験ルートは、将来、社内で運行管理者を育成していく方法として考えるのが現実的です。

新規許可を予定している場合は、既に貨物の運行管理者資格者証を持っている人を採用する、役員や社員が運行管理者試験を受験するなど、許可スケジュールから逆算して準備する必要があります。

運行管理補助者とは?

運行管理者の業務を補助するために、運行管理補助者を置くこともできます。

補助者になるには、原則として、運行管理者資格者証を持っている、または国土交通大臣が認定する基礎講習を修了していることが必要です。

ただし、補助者はあくまで運行管理者の業務を補助する立場です。補助者を置いたからといって、必要な運行管理者そのものを置かなくてもよくなるわけではありません。

将来的に実務経験ルートで運行管理者を育てたい場合には、この補助者制度が重要になります。

整備管理者とは?

整備管理者は、営業所に配置されている事業用自動車について、適切な点検・整備が行われるよう管理する責任者です。

たとえば、次のような業務を行います。

  • 日常点検の実施方法を定める
  • 点検結果に基づいて運行できるか判断する
  • 定期点検整備の計画・管理
  • 車両の整備記録等の管理

道路運送車両法施行規則では、整備管理者に車両の点検結果に基づく運行可否の決定などの権限を与えることが定められています。

一般貨物では整備管理者が必要?

事業用トラックの場合、原則として5両以上となると整備管理者の選任対象になります。

一般貨物自動車運送事業の新規許可は、原則として営業所ごとに5両以上の車両を配置するため、通常の一般貨物新規許可では、整備管理者の確保も必要になると考えておく必要があります。

整備管理者になる方法は2つ

整備管理者は、必ずしも自動車整備士でなければならないわけではありません。大きく2つの方法があります。

方法1 自動車整備士資格

1級・2級・3級の自動車整備士技能検定に合格している者であれば、資格要件を満たすことができます。

方法2 2年以上の実務経験+選任前研修

自動車整備士資格を持っていない場合でも、整備管理を行う自動車と同種類の自動車について、点検・整備または整備管理に関して2年以上の実務経験があり、整備管理者選任前研修を修了していれば資格要件を満たすことができます。

例えば、次のような経験が対象になる場合があります。

  • 整備工場で点検・整備に従事していた
  • 運送会社で車両の点検・整備を担当していた
  • 整備管理者の補助者として車両管理をしていた

ただし、「トラックに詳しい」「長年運転している」というだけで自動的に2年の実務経験になるわけではありません。実際に行っていた業務内容を確認することが重要です。

運転者には何人必要?

関東運輸局の許可基準は、単純に、「車両台数+1人」と定めているわけではありません。

基準は、事業計画を適切に遂行するために必要な員数の運転者を常時確保できることです。

例えば5台のトラックを5台とも同時に稼働させる事業計画であれば、当然ながら、その運行を実施できるだけの運転者を確保する必要があります。

一方、「車が5台だから法律上必ず運転者6人」という単純な計算ではありません。勤務時間、休日、運行内容、車両の稼働方法なども含めて判断する必要があります。

運転者として選任できない人がいる

一般貨物の運転者は、誰でも常時選任運転者として扱えるわけではありません。

貨物自動車運送事業輸送安全規則第3条では、次の者を常時選任運転者として選任することができないとされています。

  • 日々雇い入れられる者
  • 2か月以内の期間を定めて使用される者
  • 試みの使用期間中の者

ただし、試用期間中であっても、14日を超えて引き続き使用されるに至った者は、この制限から外れます。

したがって、新規許可で運転者を準備するときは、単に「運転してくれる人を5人集めればよい」という考え方ではなく、雇用形態についても確認する必要があります。

アルバイトや契約社員は運転者になれない?

「正社員でなければ絶対に運転者として選任できない」という規定ではありません。

重要なのは、先ほど説明した輸送安全規則第3条の制限に該当しないことと、事業計画に必要な運行を継続的に行える体制であることです。そのため、雇用契約の期間や勤務形態を個別に確認する必要があります。

社長自身が運転者になってもよい?

代表取締役や役員だから運転者になれない、という決まりはありません。

必要な運転免許を持ち、事業用自動車の運転者として必要な管理・教育等を受けるのであれば、代表者が運転者となることも考えられます。

ただし、代表者が、法令試験受験者、運行管理者、運転者、会社経営者など複数の役割を兼ねる場合は、実際にそれぞれの業務を確実に行える勤務・運行体制なのかを検討する必要があります。

運行管理者と運転者は兼任できる?

ここは「絶対に可能」「絶対に不可能」とだけ説明すると誤解を招きやすい部分です。

運行管理者には、車両が運行している間も、運転者からの報告を受け、必要に応じて運行継続・中断等の判断や指示を行える運行管理体制が求められます。

国土交通省は、車両運行中には運行管理者が管理業務を実施できる体制を確保するという考え方を示しており、複数の運行管理者がいる場合など、別の運行管理者が業務を行える場合には兼務できるケースがあります。

したがって、新規許可で運行管理者を1人だけ置き、その1人がトラックに乗って長時間営業所を離れることを前提とするような計画は注意が必要です。

「資格を持っているから人数に二重カウントできる」とだけ考えないことが重要です。

整備管理者と運転者の兼任は?

整備管理者についても、単に肩書だけ設定すればよいわけではありません。

実際に車両の点検・整備管理を行うことができ、整備管理者として必要な権限と時間を確保できる体制であることが必要です。

運転者との兼任そのものが一律に禁止されているわけではありませんが、運行内容や勤務時間も含め、整備管理業務を確実に遂行できるかを確認して人員計画を組む必要があります。

運行管理者と整備管理者を同じ人が兼任できる?

同じ営業所において、資格要件をそれぞれ満たしている人が運行管理者と整備管理者を兼ねるケースはあります。

ただし、運行管理者としての運行管理業務整備管理者としての整備管理業務の双方を適切に実施できることが前提です。

小規模な新規事業では人員をできるだけ少なくしたいという相談もありますが、形式的な兼任ではなく、実際の運行時間・勤務時間・点呼体制まで含めて検討した方が安全です。

5台で新規許可を取る場合の人員イメージ

例えばトラック5台で一般貨物を開始する場合、一例として、次のような体制になります。

区分 人員の考え方
運行管理者 原則1人以上
整備管理者 1人以上
運転者 5台を運行できるだけの必要人数
運行管理補助者 必要に応じて配置

ただし、実際に必要な総人数は、誰が兼任するか、車両を何台同時に運行するか、休日をどのように設定するか、運行時間帯、点呼体制、運行管理者が営業所を不在にする時間などによって変わります。

「5台だから会社全体で必ず○人」と人数だけで判断しないことが重要です。

一般貨物5台で新規許可を取得する場合の運行管理者・整備管理者・運転者の人員イメージ

運行管理者・整備管理者・運転者はいつまでに準備する?

一般貨物の新規許可では、人員についても申請時に管理体制を記載します。

関東運輸局の申請書にも、次の人員を記載する欄があります。

  • 運行管理者
  • 運行管理補助者
  • 整備管理者
  • 整備管理補助者
  • 常時選任運転者
  • その他従業員

そのため、「許可が出てから誰か探せばよい」と考えるのではなく、申請前の段階から資格・雇用予定・勤務体制を確認しておくことが重要です。

特に運行管理者は、資格者が見つからないと事業計画そのものが組めなくなる可能性があります。

人を採用する前に資格を確認する

新規許可でよくある問題の一つが、「運行管理者の資格を持っていると思って採用したが、確認すると基礎講習を受けただけだった」というケースです。

基礎講習を修了しただけでは、原則として運行管理者として選任することはできません。

基礎講習修了者は運行管理補助者になることはできますが、運行管理者として選任するには、貨物の運行管理者資格者証が必要です。

採用前には、「運行管理者資格者証(貨物)」そのものを確認することをおすすめします。

整備管理者についても、自動車整備士資格なのか、2年以上の実務経験+選任前研修なのかを確認します。

新規許可の人員は早めに確認しましょう

一般貨物新規許可では、「営業所が決まった」「車庫も借りた」「トラックも5台契約した」というところまで進んでから、運行管理者がいないことに気付くケースがあります。

運行管理者試験はいつでも受験できるものではありませんし、実務経験による資格取得には5年以上必要です。そのため、物件や車両と同じように、人員についても新規許可の計画初期から確認することが重要です。

当事務所では、一般貨物新規許可の申請書作成だけでなく、次の内容まで含めてサポートしています。

  • 運行管理者の資格確認
  • 整備管理者の資格・実務経験確認
  • 運転者の人員計画
  • 運行管理体制の確認
  • 営業所・車庫の要件調査
  • 資金計画
  • 法令試験対策
  • 許可後の運輸開始手続

埼玉県で一般貨物自動車運送事業の新規許可を検討している方は、物件や車両を契約する前の段階からご相談ください。

よくある質問

Q1.一般貨物5台なら運行管理者は何人必要ですか?

通常は1人以上です。貨物では29両まで1人、以後30両ごとに必要人数が増えます。

Q2.運行管理者は基礎講習を受ければなれますか?

基礎講習だけでは原則として運行管理者にはなれません。基礎講習修了者は運行管理補助者になることができます。運行管理者として選任するには、貨物の運行管理者資格者証が必要です。

Q3.運行管理者試験を受けずに資格を取れますか?

一定の場合は可能です。貨物の運行管理について5年以上の実務経験があり、その期間中に所定の講習を5回以上受講するなどの要件を満たせば、実務経験による資格者証交付申請ができます。

Q4.運行管理者の実務経験は普通のトラック運転経験でもよいですか?

単に運転者としてトラックに乗っていた期間だけで判断するものではありません。運行管理補助者として実際に運行管理業務に携わった経験などが重要になります。

Q5.整備士資格がなくても整備管理者になれますか?

可能です。同種類の自動車の点検・整備または整備管理について2年以上の実務経験があり、整備管理者選任前研修を修了する方法があります。

Q6.運転者は正社員でなければなりませんか?

正社員でなければならないという一律の規定ではありません。ただし、日々雇い入れられる者、2か月以内の期間を定めて使用される者などは常時選任運転者にできません。

Q7.社長が運行管理者になることはできますか?

貨物の運行管理者資格者証を持ち、実際に運行管理業務を行える勤務体制であれば可能です。

Q8.社長が運行管理者と運転者を両方やることはできますか?

肩書だけでは判断できません。運行管理者には、車両運行中も必要な管理・指示を行える体制が求められるため、特に運行管理者が1人しかいない営業所では、常時トラックに乗務する計画には注意が必要です。

Q9.整備管理者と運転者を兼ねることはできますか?

一律に禁止されているわけではありません。ただし、整備管理者として必要な点検・整備管理業務を実際に行える体制が必要です。

Q10.人員は許可が出てから採用してもよいですか?

申請時から運行管理・整備管理・運転者の確保計画を示す必要があります。資格者の確保に時間がかかる場合もあるため、申請前から準備することをおすすめします。

一般貨物新規許可の人員計画でお困りの方へ

運行管理者・整備管理者・運転者は、それぞれ資格・実務経験・雇用形態・勤務体制などの確認が必要です。

当事務所では、申請書を作成するだけではなく、人員体制や営業所・車庫、資金計画、法令試験対策、許可後の運輸開始まで一体的にサポートしています。