Gマークとは?取得要件・申請方法・巡回指導との関係を解説【2026年度】

Gマークとは

Gマークは、トラック運送事業者の安全性を評価し、一定の基準を満たした事業所を「安全性優良事業所」として認定する制度です。

正式には「貨物自動車運送事業安全性評価事業」といい、全国貨物自動車運送適正化事業実施機関である全日本トラック協会が認定を行っています。

Gマークは会社全体ではなく、営業所(事業所)単位で申請・認定される制度です。

また、申請時に必要書類をそろえるだけで取得できる制度ではありません。

巡回指導の結果、事故・違反の状況、安全性向上に向けた取組などが評価されるため、取得を目指す場合には早い段階から準備しておくことが重要です。

この記事では、Gマークの取得要件や評価方法に加え、特に誤解されやすい巡回指導のA判定とGマーク評価の違い、新規申請時の巡回指導の取扱い、営業所を移転・新設した場合の3年要件まで解説します。

Gマーク(安全性優良事業所)とは?

Gマーク制度は、荷主企業や一般消費者が、より安全性の高いトラック運送事業者を選びやすくするとともに、トラック運送業界全体の安全性向上を図ることを目的とした制度です。

安全性に対する法令の遵守状況、事故や違反の状況、安全性向上に向けた積極的な取組などを評価し、一定の基準を満たした事業所が「安全性優良事業所」として認定されます。

2026年3月現在、全国で29,210事業所、埼玉県では1,742事業所が認定されています。

Gマークは会社単位ではなく営業所単位

Gマークは、運送会社全体を一括して認定する制度ではありません。

一般貨物自動車運送事業および特定貨物自動車運送事業の営業所(事業所)単位で申請・評価されます。

そのため、複数の営業所を持つ運送会社の場合、本社営業所がGマークを取得していても、他の営業所が自動的にGマーク認定事業所になるわけではありません。

それぞれの営業所について申請資格を確認する必要があります。

なお、貨物軽自動車運送事業はGマークの評価対象ではありません。

Gマークを新規申請するための主な要件

2026年度の申請基準日は2026年7月1日です。

新規申請を行う営業所は、主に次の要件を満たす必要があります。

  • 事業開始後(運輸開始後)3年を経過していること
  • 配置する事業用自動車が5両以上であること
  • 不正申請等による申請却下・評価取消し・認定取消し等がある場合には、所定の期間を経過していること
  • 認定証・認定マーク等の不正使用について是正勧告を受けている場合には、所定の要件を満たしていること

特に注意したいのが「3年」の考え方です。

会社を設立してから3年ではなく、Gマークを申請する営業所について事業開始後3年を経過しているかを確認します。

営業所の移転・新設では「3年」の数え方に注意

Gマークは営業所単位で申請・認定される制度です。

そのため、営業所の移転や新設を行った場合、「3年」の数え方には注意が必要です。

特に分かりにくいのが、既存の営業所を丸ごと移転する場合と、既存の営業所を残したまま一部を分離して新しい営業所を設ける場合の違いです。

A営業所を廃止し、その機能をすべてB営業所へ移転する場合

例えば、これまでA営業所で運送事業を行っていた会社が、A営業所を廃止し、その営業所機能をすべてB営業所へ移転する場合です。

この場合、単に「B営業所が新しくできたから、そこから改めて3年間待つ」という取扱いではありません。

A営業所で事業を行っていた期間をB営業所が引き継ぎ、A営業所での事業開始から通算して3年を経過すれば、B営業所でGマーク申請が可能になります。

例えば、

A営業所で2年間事業

↓

A営業所を廃止して営業所機能をすべてB営業所へ移転

↓

B営業所で1年間事業

↓

A営業所2年+B営業所1年=通算3年

となれば、3年要件を満たすことになります。

A営業所を残し、一部を分離してB営業所を新設する場合

これに対して、A営業所をそのまま残しながら、その機能の一部を分離してB営業所を新設する場合は取扱いが異なります。

A営業所とB営業所をそれぞれ別の営業所として考えます。

A営業所がすでに3年の要件を満たしていれば、A営業所はGマーク申請が可能です。

一方、新たに設置したB営業所は、A営業所の営業期間をそのまま引き継ぐわけではありません。

B営業所は、B営業所として事業を開始してから3年を経過した後にGマーク申請が可能になります。

つまり、

A営業所を廃止して機能全部をB営業所へ移転
→ A営業所の営業期間をB営業所が引き継ぐ
→ A営業所の事業開始から通算して3年で申請可能

A営業所を残して一部をB営業所として新設
→ A営業所は従来の営業期間で判定
→ B営業所は新設時から3年を数える

という違いがあります。

この取扱いについては、当事務所から適正化実施機関へ確認済みです。

Gマーク取得を予定している事業者が営業所の移転・新設を行う場合には、単に住所が変わったかどうかだけではなく、既存営業所を全部移転するのか、それとも既存営業所を残して別の営業所を新設するのかを区別して考えることが重要です。

Gマーク申請では巡回指導のA判定が重要

Gマークの新規取得を目指す場合、重要になるのが適正化実施機関による巡回指導です。

Gマーク申請では、巡回指導でA判定となることが必要です。

ただし、新規申請では、そのA判定を確認する巡回指導がGマーク申請の前に行われる場合と、申請後に行われる場合があります。

巡回指導のA判定は「適」が90%以上

通常の巡回指導では、「該当せず」とされた項目を除いた評価対象項目のうち、「適」とされた項目の割合によって総合評価が行われます。

A判定は「適」が90%以上です。

そのため、営業所によって非該当項目があれば分母も変わり、すべての営業所について「何項目中何項目」という固定的な計算になるわけではありません。

また、重点指導項目に「否」がある場合には、算出された総合評価が1段階引き下げられる場合があるため、単純に「適」の数だけで判断するものでもありません。

巡回指導のA判定とGマークの32点は同じ採点ではない

巡回指導A判定とGマーク評価項目Ⅰの違いを解説

ここは特に誤解しやすいポイントです。

通常の巡回指導でA判定となることと、Gマークの評価項目Ⅰで基準点を満たすことは、同じ計算ではありません。

Gマークでは巡回指導の結果を使用しますが、Gマーク独自の評価方法によって点数化します。

2026年度の評価項目Ⅰ「安全性に対する法令の遵守状況」は、

40点満点・基準32点以上

です。

また、通常の巡回指導では非該当項目を除いて評価率を計算しますが、Gマーク評価項目Ⅰでは、営業所により該当しない項目については加点する取扱いがあります。

したがって、

① 通常の巡回指導でA判定となること

そのうえで、

② Gマーク独自の評価項目Ⅰでも32点以上を確保すること

を分けて考える必要があります。

「巡回指導A判定=Gマーク32点」という意味ではありません。

新規申請の巡回指導には2つのパターンがある

Gマーク新規申請における巡回指導の2つの実施パターン

新規申請では、Gマーク申請時点までに対象となる巡回指導が実施されているかどうかによって流れが異なります。

パターン1 申請前に対象となる巡回指導を受けている

前年7月1日以降の評価対象期間に巡回指導を受けている場合には、その巡回指導結果がGマークの評価に使用されます。

パターン2 申請時点で対象となる巡回指導を受けていない

この場合には、先にGマークの申請手続を行い、その後、評価対象期間内に巡回指導が実施され、その結果がGマークの評価に使用されます。

つまり、

「Gマーク申請では巡回指導のA判定が必要」という点は変わりません。

違うのは、そのA判定を確認する巡回指導がGマーク申請前に行われるか、申請後に行われるかです。

「申請時点で巡回指導がまだ来ていないからGマークを申請できない」という意味ではありません。

更新申請では取扱いが異なる

2回目以降の更新申請では、新規申請と同じ取扱いになるとは限りません。

更新申請には複数の申請方式があり、申請方式によって必要となる手続や巡回指導の取扱いが異なります。

そのため、Gマークを申請すれば、更新時も毎回必ず申請に伴う巡回指導が実施されるわけではありません。

更新時には、現在の認定状況や申請方式を確認して準備します。

Gマークは3つの項目で評価される

Ⅰ.安全性に対する法令の遵守状況

配点40点・基準点32点

地方実施機関による巡回指導の結果を用いて評価されます。

Ⅱ.事故や違反の状況

配点40点・基準点21点

国土交通省から提供される事故・行政処分の実績を用いて評価されます。

Ⅲ.安全性に対する取組の積極性

配点20点・基準点12点

事業者が自主的・積極的に行っている安全への取組を評価します。

例えば、自社独自の安全教育、外部研修への参加、運転記録証明書の活用、適性診断、健康起因事故防止対策、労働時間短縮への取組などがあります。

重要なのは、実際に取り組んでいるだけではなく、その取組を証明できる資料を残しておくことです。

合計80点以上だけではGマークは取得できない

Gマークの評価は100点満点で、認定には合計80点以上が必要です。

しかし、合計80点以上だけで認定されるわけではありません。

2026年度では、

Ⅰ 安全性に対する法令の遵守状況:32点以上

Ⅱ 事故や違反の状況:21点以上

Ⅲ 安全性に対する取組の積極性:12点以上

というそれぞれの基準点も満たす必要があります。

さらに、評価項目Ⅲの各自認項目グループで得点していること、法令に基づく認可申請・届出・報告事項が適正であること、社会保険等へ適正に加入していることなどの認定要件も確認されます。

Gマークは申請直前から準備しても間に合わないことがある

Gマークでは、日頃の法令遵守状況や安全への取組が評価されます。

特に評価項目Ⅲでは、実際に行った取組について、その内容を証明する資料が必要です。

申請時になってから過去に遡って研修や安全への取組を行うことはできません。

そのため、

現在の巡回指導・法令遵守状況を確認
↓
不足している部分を改善
↓
安全性向上の取組を継続して実施
↓
実施記録・挙証資料を残す
↓
Gマーク申請

という流れで、早い段階から準備することが重要です。

2026年度からWeb申請へ

2026年度からGマーク申請はWeb申請へ変更されました。

Web申請システムでは2026年6月1日から申請書を作成でき、正式な申請受付期間は、

2026年7月1日(水)~7月14日(火)24時

でした。

2026年度の申請受付はすでに終了しています。

新規申請および更新A・C方式では、「安全性に対する取組の積極性」に関する挙証資料の提出も必要です。

なお、Gマーク制度そのものの申請料は無料です。

申請方法や評価基準は年度によって変更される場合があるため、実際に申請する際には、その年度の全日本トラック協会および地方実施機関の最新案内を確認する必要があります。

Gマークを取得するメリット

Gマークは、安全性について一定の基準を満たした営業所であることを対外的に示す制度です。

また、認定事業所には一定の要件のもとで各種インセンティブがあります。

基準緩和自動車に関する優遇

一定の要件を満たす場合、基準緩和自動車に関する有効期間等について優遇措置があります。

特殊車両通行許可に関する優遇

一定の要件を満たす優良事業所について、特殊車両通行許可の有効期間に関する優遇措置があります。

トラック協会による助成の優遇

都道府県トラック協会の会員事業者については、一部の助成制度でGマーク認定事業所向けの優遇措置が設けられる場合があります。

内容は年度によって変更されるため、利用時点の制度を確認する必要があります。

一部の保険・交通共済での割引

一部の損害保険会社や交通共済では、Gマーク認定事業所を対象とした独自の保険料割引等を設けている場合があります。

特定技能外国人ドライバーの受入れにも関係

自動車運送業分野で特定技能外国人を受け入れる場合にも、Gマークは関係する制度の一つとなっています。

荷主・取引先へ安全性を示す材料になる

Gマークは、安全性について一定の基準を満たした営業所であることを示す客観的な材料になります。

ただし、「Gマークを取得すれば必ず取引が増える」「必ず運賃交渉が有利になる」といった効果を保証する制度ではありません。

Gマーク申請の料金

当事務所のGマーク取得支援の料金は次のとおりです。

当事務所へのGマーク申請依頼が初回:165,000円(税込)

当事務所への申請依頼が2回目以降:143,000円(税込)

ただし、更新申請がA申請となる場合は、2回目以降であっても165,000円(税込)です。

更新申請には複数の申請方式があり、申請方式によって必要となる確認や書類作成等が異なります。A申請が最も高い料金となります。

また、現在の法令遵守状況を確認し、巡回指導に向けた改善から支援する必要がある場合には、別途、巡回指導サポート55,000円(税込)~をご案内します。

営業所の状況、直近の巡回指導結果、申請方式等を確認したうえで、必要なサポート内容と料金をご案内します。

各種料金表はこちら

顧問契約をご利用の事業者について

当事務所の一般貨物自動車運送事業者向け顧問契約では、Gマーク申請対応もサポート内容に含まれています。

そのため、Gマーク申請対応を含む顧問契約をご利用いただいている事業者については、Gマーク申請について別途申請報酬をいただかず、顧問契約の範囲内で対応します。

Gマークは申請時だけ準備すればよい制度ではありません。

巡回指導への対応、運行管理・整備管理、各種届出、安全への継続的な取組や記録の整備など、普段の事業運営がGマークの評価につながります。

将来的にGマーク取得を予定している場合には、日頃から法令遵守状況を確認しながら準備していくことが重要です。

Gマーク取得を検討している運送事業者の方へ

Gマーク申請では、申請書を作成するだけでなく、申請資格、営業所の事業開始時期、営業所の移転・新設、巡回指導の結果、事故・行政処分の状況、安全性に対する取組、挙証資料などを確認する必要があります。

特に新規取得では、巡回指導A判定とGマーク独自評価の違い、申請前・申請後の巡回指導、営業所の3年要件など、申請書だけでは判断しにくい部分があります。

島岡和雄行政書士事務所では、巡回指導への準備からGマーク申請まで、営業所の現在の状況を確認しながら対応しています。

私自身、運行管理者資格者証(貨物)を取得し、整備管理者選任前研修も修了しています。

Gマーク取得を検討している場合は、申請直前ではなく、早めに現在の状況を確認しておくことをおすすめします。

Gマーク申請・巡回指導対策については、お問い合わせフォームからご相談ください。

※Gマークの申請資格、評価方法、申請期間、巡回指導の取扱い等は年度によって変更される場合があります。実際の申請にあたっては、その年度の全日本トラック協会および地方実施機関の最新情報をご確認ください。