一般貨物の営業所と車庫は何kmまで離せる?距離の基準を解説【埼玉】
一般貨物自動車運送事業の新規許可で営業所と車庫を探していると、
「営業所と車庫は同じ場所でなければならないのか」
「少し離れた場所に車庫を借りてもよいのか」
「埼玉県では何kmまで離せるのか」
といった疑問が出てくると思います。
一般貨物の車庫は、原則として営業所に併設することとされています。
ただし、営業所に車庫を併設できない場合には、一定の距離基準を満たした別の場所に車庫を設けることができます。
埼玉県の場合は、営業所と車庫を別の場所に設けるとき、営業所から10km以内であることが基準です。
この記事では、埼玉県で一般貨物自動車運送事業の許可を検討している方に向けて、営業所と車庫の距離、10kmの考え方、別の市町村に車庫を設ける場合、営業所と車庫が離れている場合の注意点について解説します。
一般貨物の営業所と車庫は何kmまで離せる?

一般貨物自動車運送事業では、営業所と車庫の距離について地域ごとに基準があります。
関東運輸局管内では、次のように整理できます。
| 営業所を設置する地域(関東運輸局管内) | 営業所と車庫の距離 |
|---|---|
| 東京都特別区 | 20km以内 |
| 横浜市 | 20km以内 |
| 川崎市 | 20km以内 |
| 埼玉県 | 10km以内 |
| 上記以外の関東運輸局管内の地域 | 10km以内 |
したがって、埼玉県内に営業所を設置する場合は10km以内が基本となります。
例えば、営業所と同じ敷地内に必要な広さの車庫を確保できない場合でも、距離基準などの要件を満たす別の土地を車庫として計画することができます。
ただし、「10km以内ならどこに車庫を設けてもよい」という意味ではありません。
車庫は営業所に併設するのが原則
関東運輸局の一般貨物自動車運送事業の許可申請の処理方針では、自動車車庫について、
とされています。
そのうえで、営業所に併設できない場合には、平成3年6月25日運輸省告示第340号に適合する車庫を設けることが認められています。
つまり、考え方としては、
営業所に車庫を併設する
↓
併設できない場合は距離基準を満たす別の車庫を確保する
という順番です。
埼玉県で営業所と車庫を別の場所にする場合に出てくる「10km」という数字は、この場合に確認する重要な基準になります。
10kmは道路を走った距離ではなく直線距離

ここは車庫探しの際に間違えやすいところです。
営業所と車庫の距離は、通常の自動車で移動するときの走行距離ではなく、営業所を起点とした直線距離で確認します。
そのため、
「Googleマップのルート検索で10kmを超えているから使えない」
と、走行距離だけを見て判断するものではありません。
一方で、候補地が10kmの境界付近にある場合には、「だいたい10kmくらいだから大丈夫」と判断するのも避けた方がよいでしょう。
申請する営業所と車庫の位置関係を確認し、距離基準を満たしていることを確認してから物件を契約することが重要です。
営業所と車庫が別の市町村でも大丈夫?
「営業所が戸田市なら、車庫も戸田市でなければならないのですか?」
という質問もあります。
営業所と車庫の距離基準は、同じ市町村にあることを求める基準ではありません。
そのため、営業所と車庫が異なる市町村に所在するという理由だけで、直ちに車庫として使用できなくなるわけではありません。
例えば、営業所と車庫が市境を挟んで近接しているケースも考えられます。
重要なのは、営業所と車庫の位置関係が距離基準を満たしていることです。
ただし、距離を満たしていればそれだけで車庫として認められるわけではありません。
車庫については、都市計画法、農地法などの関係法令、使用権原、車庫の広さ、前面道路など、別の要件も確認する必要があります。
営業所と車庫が離れている場合は点呼や運行管理にも注意
一般貨物自動車運送事業の点呼は、営業所で行うことが原則です。
営業所と車庫が離れている場合には、必要に応じて運行管理者等を車庫へ派遣して点呼を行うなど、適切な点呼体制を確保する必要があります。
なお、営業所と車庫が離れているという理由だけで、電話その他の方法による点呼が当然に認められるわけではありません。
現在は、国土交通省が定める要件を満たす場合に、営業所・車庫間などで遠隔点呼を行う制度もあります。
そのため、車庫を選ぶ際には「営業所から10km以内か」だけでなく、実際にどのような方法で点呼・運行管理を行うのかまで検討することが重要です。
物件上の距離要件と、実際の運行管理が適切にできるかは分けて確認する必要があります。
営業所や車庫を移転するときも距離を再確認
営業所と車庫の距離は、新規許可を取得するときだけ確認すればよいものではありません。
許可取得後に、
- 営業所を移転する
- 車庫を新設する
- 車庫を別の場所へ移転する
- 車庫を追加する
といった変更を行う場合にも、変更後の営業所と車庫の位置関係を確認する必要があります。
例えば、車庫を動かしていなくても、営業所を移転したことによって営業所と車庫の距離が変わることがあります。
そのため、営業所と車庫はそれぞれ単独で考えるのではなく、変更後も一体として許可要件を確認することが重要です。
営業所と車庫の距離以外にも確認することがある
営業所から10km以内の土地が見つかっても、それだけで一般貨物の車庫として使用できるわけではありません。
関東運輸局の処理方針では、車庫について主に次の要件が定められています。
- 計画する事業用自動車をすべて収容できること
- 車両相互間と車両・車庫境界との間に50cm以上の間隔を確保できること
- 他の用途に使用する部分と明確に区画されていること
- 使用権原があること
- 農地法・都市計画法などの関係法令に抵触しないこと
- 車両が支障なく出入りできること
- 前面道路との関係で車両制限令に抵触しないこと
したがって車庫候補を探すときは、
営業所からの距離 → 土地・法令 → 車庫の広さ・車両配置 → 前面道路 → 使用権原
などを一体で確認する必要があります。
車庫の広さや50cm間隔については、既存の「一般貨物の車庫に必要な広さ」の記事で詳しく説明しています。
また、前面道路についても単純に「道路幅が何mあるか」だけでは判断できないため、既存の「一般貨物の車庫|前面道路の幅員は何m?」の記事もあわせて確認してください。
よくある質問
Q.埼玉県では営業所と車庫は必ず10km以内ですか?
営業所と車庫を別の場所に設ける場合は、埼玉県では10km以内の距離基準を確認します。
ただし、車庫は原則として営業所に併設することとされています。10kmは「10kmまでなら自由に車庫を離してよい」という意味ではありません。
Q.10kmは車で走った距離ですか?
道路上の走行距離ではなく、営業所を起点とした直線距離で確認します。
候補地が距離基準の境界付近にある場合は、物件を契約する前に位置関係を確認することをおすすめします。
Q.営業所と車庫が別の市でも大丈夫ですか?
別の市町村にあるという理由だけで直ちに使用できなくなるわけではありません。
営業所から車庫までの距離基準を満たしているかを確認するとともに、車庫について関係法令、使用権原、広さ、前面道路など他の要件も確認します。
Q.営業所から10kmを少し超えても認められますか?
「少しくらいなら大丈夫」という基準ではありません。
候補地が基準付近にある場合は、契約前に営業所と車庫の位置関係を正確に確認してください。
Q.営業所と車庫が離れていても点呼できますか?
営業所と車庫が離れている場合でも、法令に適合した方法で点呼・運行管理を行う必要があります。
点呼場所や運行管理者等の体制、営業所と車庫の位置関係などを踏まえて、実際の運用方法を検討します。
まとめ|埼玉の一般貨物では営業所と車庫の距離を契約前に確認
一般貨物自動車運送事業の車庫は、原則として営業所に併設します。
営業所に併設できない場合、埼玉県では営業所から10km以内という距離基準を確認します。
また、距離だけで車庫の可否を判断することはできません。
車庫の広さ、50cm以上の間隔、使用権原、関係法令、前面道路、さらに営業所と車庫が離れている場合の運行管理まで含めて確認することが重要です。
特に新規許可では、営業所や車庫を契約した後に許可要件を満たさないことが分かると、物件の変更・申請準備のやり直しにつながります。
島岡和雄行政書士事務所では、埼玉県で一般貨物自動車運送事業の新規許可を検討している事業者様について、営業所・車庫の候補物件の確認、現地調査、前面道路の調査などを含めてサポートしています。
物件を契約する前の段階からご相談いただけます。


