運行管理者は実務経験5年で取れる?試験なしで資格者証を取得する方法【貨物】

「運行管理者になるには、運行管理者試験に合格しなければならない」と思われがちです。

貨物の運行管理者資格者証には、運行管理者試験に合格する方法のほか、5年以上の実務経験と所定の講習受講によって資格者証の交付を受ける方法があります。

ただし、単に「運送会社で5年間働けば取得できる」という制度ではありません。

運行管理補助者としての実務経験、実務経験の起算日、講習の受講時期や回数などを確認し、要件を満たしたうえで資格者証の交付申請を行う必要があります。

この記事では、貨物の運行管理者資格者証を取得する2つの方法と、特に「実務経験5年」による取得方法について、実際の申請で注意したいポイントを解説します。

運行管理者資格者証を取得する方法は2つ

①運行管理者試験に合格する方法

運行管理者試験(貨物)に合格し、運行管理者資格者証の交付申請を行う方法です。

試験に合格しただけで資格者証が自動的に交付されるわけではなく、合格後に所定の交付申請を行います。

②5年以上の実務経験と講習受講による方法

もう一つは、運行管理に関する5年以上の実務経験を有し、その実務経験の「その間に」運行管理に関する講習を5回以上受講する方法です。

5回の講習のうち、少なくとも1回は基礎講習を受講している必要があります。

運行管理者資格者証の2つの取得ルートを示した図

実務経験5年とは?運送会社に5年勤務するだけではダメ

「5年以上の実務経験」は、トラックドライバーとして5年間勤務した、運送会社に5年間在籍したというだけで満たすものではありません。

ここでいう実務経験は、事業用自動車の運行管理に関する実務経験です。

平成19年4月1日以降の実務経験については、運行管理補助者として選任され、実際に運行管理に携わった期間が重要になります。

会社への在籍期間、ドライバーとしての乗務期間、運行管理に関する実務経験は、それぞれ同じ意味ではありません。単なる在籍期間と「運行管理に関する実務経験」を混同しないよう注意が必要です。

実務経験の「その間に」基礎講習・一般講習を5回以上受講

実務経験による資格者証取得で特に重要なのが、講習を受講した時期です。

「5年以上の実務経験」と「講習5回」を別々に満たせばよいのではありません。

5年以上の実務経験を有し、その実務経験の「その間に」所定の講習を5回以上受講していることが必要です。

また、5回のうち少なくとも1回は基礎講習でなければなりません。

実務経験期間と講習受講歴を別々に確認するのではなく、実務経験の期間内に必要な講習が受講されているかを時系列で確認することが重要です。

実務経験5年と講習受講による運行管理者資格者証取得の流れ

同じ年度に複数の講習を受けても「1回」

講習回数の数え方にも注意が必要です。

同一年度(4月から翌年3月まで)に基礎講習や一般講習を複数回受講しても、資格要件上の受講回数は1回として扱われます。

例えば、同じ年度に基礎講習を1回、一般講習を1回受講したからといって、その年度について2回受講したとは数えられません。

必要な講習回数を確認するときは、単純な受講証明書の枚数ではなく、どの年度に受講した講習なのかを整理する必要があります。

実務経験の起算日に注意|運輸開始日の確認不足で受付できなかったことも

私自身、以前、実務経験による運行管理者資格者証の交付申請を行った際、実務経験の起算日となる時期の確認が不足しており、申請を受付してもらえなかったことがあります。

実務経験による資格者証の取得では、単に「補助者として5年以上経過している」「講習を5回受けている」というだけでは判断できません。

一般貨物自動車運送事業では、許可を受けた日と実際に運輸を開始した日は同じとは限りません。

まだ運輸を開始していない期間を、事業用自動車の運行管理に関する実務経験として計算することはできません。

さらに、資格要件では5年以上の実務経験を有し、その「その間に」所定の講習を5回以上受講していることが必要です。

  • 運輸開始日
  • 実務経験の起算日
  • 基礎講習・一般講習の受講日
  • 5年以上の実務経験を満たす日

この時系列を順に確認することが重要です。

ただし、「運輸開始日が必ず実務経験の起算日になる」という意味ではありません。運輸開始前の期間を実務経験として計算できないことと、実際の実務経験の起算日がいつになるかは分けて確認する必要があります。

基礎講習を受講し、補助者として実務経験を積む

これから実務経験による資格者証取得を目指す場合の基本的な流れは、次のとおりです。

  1. 基礎講習を受講する
  2. 運行管理補助者として選任される
  3. 実際に運行管理に携わる
  4. 実務経験を積みながら必要な講習を受講する
  5. 要件を満たした後に資格者証交付申請を行う

ここで注意したいのが、基礎講習を受講しただけで実務経験5年のカウントが始まるわけではないことです。平成19年4月1日以降の実務経験は、基礎講習を修了して運行管理補助者として選任され、実際に運行管理に携わっていた期間が対象となります。

また、講習5回についても、実務経験とは別に受講しておけばよいわけではなく、実務経験の期間中に受講した講習であることが必要です。そのため、基礎講習を受講してから補助者として実務を開始するまでに期間が空く場合は、その基礎講習を講習5回のうちの1回として算入できるか、事前に管轄運輸支局へ確認しておくと安心です。

実務経験の開始時期、選任状況、講習受講日を継続して整理し、後から確認できる状態にしておくことが大切です。

実務経験や講習日の具体的な算定について判断に迷う場合には、資格者証を申請する運輸支局へ事前に確認しましょう。

5年経過しても自動的に資格者証が交付されるわけではない

5年以上の実務経験と講習要件を満たしても、運行管理者資格者証が自動的に交付されるわけではありません。

要件を満たした後に、運行管理者資格者証の交付申請を行う必要があります。

申請では、実務経験証明書等によって実務経験や講習受講歴が確認されます。申請段階で慌てないよう、選任時期や受講履歴を整理しておくことが重要です。

また、資格者証を取得することと、営業所の運行管理者として選任されることは別です。

資格者証の交付を受けた後、営業所の運行管理者として業務を行う場合には、事業者による選任と所定の届出が必要になります。

実務経験5年ルートは「試験を受けなくてよい簡単な方法」ではない

実務経験による方法では、運行管理者試験への合格は必要ありません。

しかし、次の要件を確認する必要があります。

  • 5年以上の運行管理に関する実務経験
  • その実務経験の間に講習を5回以上受講
  • 少なくとも1回は基礎講習
  • 同一年度の複数受講は1回として扱う
  • 実務経験を証明できること

「試験がないから簡単」というより、長期間にわたり実際に運行管理の実務に携わってきた人が利用できる資格取得方法です。

資格取得後も、日常の点呼、運転者への指導、労働時間の管理など、適正な運行管理を継続することが重要です。運送事業者の運行管理状況が確認される一般貨物の巡回指導についても、日頃から対応できる体制を整えておきましょう。

よくある質問

基礎講習を受けた日から実務経験5年が始まりますか?

いいえ。基礎講習を受講しただけで、実務経験5年のカウントが始まるわけではありません。

平成19年4月1日以降の実務経験については、基礎講習を修了して運行管理補助者として選任され、実際に運行管理に携わっていた期間が実務経験となります。

また、資格者証の交付要件となる講習は、実務経験の期間中に受講している必要があります。基礎講習の受講時期と補助者として実務を開始した時期が離れている場合は、申請前に管轄運輸支局へ確認してください。

ドライバーとして5年以上働けば資格者証を取得できますか?

ドライバーとしての勤務期間だけで、実務経験5年の要件を満たすわけではありません。

資格要件となるのは運行管理に関する実務経験です。平成19年4月1日以降の実務経験については、運行管理補助者として選任され、実際に運行管理に携わった期間を確認する必要があります。

一般講習を5回受講すれば取得できますか?

一般講習を5回受講しただけでは、講習要件を満たしません。

5回の講習のうち、少なくとも1回は基礎講習を受講している必要があります。また、講習は5年以上の実務経験の「その間に」受講している必要があります。

同じ年度に基礎講習と一般講習を受ければ2回になりますか?

同一年度に複数の講習を受講しても、資格要件上の受講回数は1回として扱われます。

同じ年度に基礎講習と一般講習をそれぞれ受講しても、その年度について2回とは数えられません。

実務経験が途中で中断した場合はどうなりますか?

実務経験期間を合算して5年以上あるか、その実務経験期間中に必要な講習要件を満たしているかを確認する必要があります。

期間の算定に判断が必要な場合は、資格者証の交付申請を行う運輸支局へ確認してください。

5年経過すれば自動的に資格者証が交付されますか?

自動的には交付されません。

5年以上の実務経験と講習要件を満たした後に、運行管理者資格者証の交付申請を行う必要があります。

まとめ|「5年」だけでなく「その間に」を確認する

貨物の運行管理者資格者証は、運行管理者試験に合格する方法のほか、5年以上の実務経験と講習受講によって取得する方法があります。

  • 5年以上の運行管理に関する実務経験
  • 実務経験の「その間に」講習を5回以上受講
  • 少なくとも1回は基礎講習
  • 同一年度の複数受講は1回
  • 実務経験の起算日と講習受講日の時系列確認が重要

私自身、運輸開始日の確認が不足していたため、実務経験による資格者証交付申請を受付してもらえなかった経験があります。

資格者証の申請段階になって初めて確認するのではなく、実務経験を積んでいる段階から、補助者としての選任時期、実務経験の起算日、講習の受講履歴を整理しておくことが重要です。