第一種貨物利用運送事業とは?登録が必要なケース・要件・申請方法を解説【埼玉】
荷主から受けた運送の仕事を、他の運送会社に依頼する場合、「第一種貨物利用運送事業の登録が必要なのでは?」と考える方もいると思います。
しかし、他社のトラックを利用して貨物を運んだからといって、すべて第一種貨物利用運送事業になるわけではありません。
特に、一般貨物自動車運送事業者が他の一般貨物自動車運送事業者に実運送を依頼する場合には、貨物利用運送事業法上の第一種貨物利用運送事業ではなく、貨物自動車運送事業法上の「貨物自動車利用運送」に該当する場合があります。
国土交通省も、トラック事業者が別のトラック事業者の実運送を利用する場合は、貨物利用運送事業法第19条の適用除外となり、第一種貨物利用運送事業の登録は必要ないとしています。一方、トラック事業者がトラック事業者ではない利用運送事業者を利用する場合には、第一種貨物利用運送事業の登録が必要としています。
そのため、
「全部外注したから第一種」
「一部を自社便で運んだから第一種ではない」
というように、外注した割合だけで判断することはできません。
この記事では、トラックを利用する第一種貨物利用運送事業について、登録要件や必要書類だけでなく、実務で特に判断に迷いやすい「そもそも自社に第一種貨物利用運送事業の登録が必要なのか」というところから解説します。
第一種貨物利用運送事業とは
貨物利用運送事業とは、他人(荷主)の需要に応じ、有償で、実運送事業者が行う運送を利用して貨物を運送する事業です。
自社の商品を運送会社に運んでもらうだけの場合は「自らの需要」に応じるものなので、それだけで貨物利用運送事業になるわけではありません。
トラックを利用する第一種貨物利用運送事業の基本的な関係は、
荷主
↓ 運送契約
第一種貨物利用運送事業者
↓ 利用運送契約
実運送事業者
↓
実際に貨物を運送

第一種貨物利用運送事業者は荷主から運送を引き受けますが、実際の貨物の運送は一般貨物自動車運送事業者等が行います。
なお、第一種貨物利用運送事業は「許可」ではなく登録です。
一般貨物運送事業者が他の運送会社に依頼したら第一種?
ここは特に誤解しやすいところです。
例えば、
荷主 → 一般貨物A → 一般貨物B(実運送)
というケースです。
AもBも一般貨物自動車運送事業者であり、Bがトラック事業者として実際に貨物を運ぶ場合、AがBの実運送を利用する行為は、貨物自動車運送事業法上の「貨物自動車利用運送」に該当します。
国土交通省Q&Aでも、この場合は貨物利用運送事業法第19条の適用除外となり、第一種貨物利用運送事業の登録は必要ないとされています。

例えばA社の自社車両がすでに稼働しており、荷主から追加の運送依頼を受け、その便をB社へ依頼した結果、その仕事について100%B社が運んだとしても、
「100%外注したから第一種貨物利用運送事業」
と判断するものではありません。
反対に、
「一部でも自社便を出せば貨物自動車利用運送」
という区分でもありません。
重要なのは外注した割合ではなく、誰が、どの立場で、誰の運送を利用しているのかです。
なお、一般貨物自動車運送事業者が他のトラック事業者を利用する場合には、第一種登録とは別に、貨物自動車運送事業法に基づく事業計画上の手続を確認する必要があります。
「利用の利用」は別に考える必要があります
次のようなケースは、一般貨物事業者同士の傭車とは構造が異なります。
荷主
↓
一般貨物A
↓
第一種貨物利用運送B
↓
一般貨物C(実運送)

Aが直接Cという実運送事業者を利用するのではなく、貨物利用運送事業者Bを利用しています。
国土交通省Q&Aでは、トラック事業者が「利用運送専業者(トラック事業者でない利用運送事業者)」を利用する場合には、第一種貨物利用運送事業の登録が必要とされています。
そのため、外注先について単に「運送会社だから大丈夫」と判断するのではなく、
その会社自身がトラックで実運送する事業者なのか
それとも、
貨物利用運送事業者として別の実運送事業者を利用するのか
まで確認することが重要です。
単なる紹介・取次との違い
運送会社を紹介しただけなのか、自社が荷主から運送を引き受けているのかによっても取扱いは異なります。
判断するときは、単に誰から誰へ代金が支払われたかだけではなく、
- 誰が荷主から運送を引き受けているのか
- 誰が運送責任を負っているのか
- 誰が実運送事業者と契約しているのか
- 貨物事故等が発生した場合に誰が荷主に対応するのか
など、契約関係と実態を確認する必要があります。
第一種貨物利用運送事業の主な登録要件
営業所等
第一種貨物利用運送事業を行う営業所等について、使用権原が必要です。
また、都市計画法その他の関係法令に抵触しないことも確認します。
保管施設
保管施設は、第一種貨物利用運送事業を行うすべての事業者に必須ではありません。
保管施設を必要とする事業を行う場合には、使用権原のほか、規模・構造等が適切であることを確認します。
基準資産額300万円以上
第一種貨物利用運送事業では、財産的基礎として基準資産額300万円以上が必要です。
これは、すべての法人について一律に「資本金300万円以上」が必要という意味ではありません。
既存法人については、原則として直近事業年度の貸借対照表等をもとに基準資産額を確認します。そのため、資本金が300万円未満であっても、基準資産額が300万円以上であれば財産的基礎の要件を満たすことができます。
一方、新設法人や設立後まだ決算を迎えていない法人については、出資の状況や開始貸借対照表等によって財産的基礎を確認するため、設立時の資本金額が実質的に重要になる場合があります。
欠格事由
申請者や法人の役員等が、貨物利用運送事業法に定める登録拒否事由に該当しないことが必要です。
トラック・車庫・運行管理者・整備管理者は必要?
第一種貨物利用運送事業者自身がトラックで実運送することを登録要件としている制度ではありません。
そのため、一般貨物自動車運送事業の新規許可のように、第一種登録のために、
自社トラック・一般貨物用の車庫・運行管理者・整備管理者
を自己運送のために用意する制度ではありません。
ここは一般貨物自動車運送事業の新規許可との大きな違いです。
利用する運送事業者との契約にも注意
第一種貨物利用運送事業の登録申請では、利用する実運送事業者等との契約関係を確認する書類を準備します。
申請時点で正式な契約締結が完了していない場合には、契約書案を使用して申請できる取扱いもあります。
一方、登録を受ける前に第一種貨物利用運送事業を開始することはできません。
そのため、あらかじめ契約を締結する場合には、第一種貨物利用運送事業の登録を受けたことを条件として契約の効力が生じる内容とするなど、発効時期にも注意が必要です。
また、すでに一般貨物自動車運送事業者として他の運送会社と取引している場合でも、現在の契約書を第一種貨物利用運送事業の登録申請にそのまま使用できるとは限りません。
申請する事業計画と契約関係が一致しているかを確認します。
利用運送約款|独自約款が必要になるケースも
一般的な貨物自動車に係る第一種貨物利用運送事業については、国土交通省が「標準貨物自動車利用運送約款」を定めています。
一方、すべての利用運送について専用の標準約款が用意されているわけではありません。
例えば霊柩運送のように、事業内容によって一般的な標準貨物自動車利用運送約款をそのまま使用できない場合には、事業内容に応じた独自の利用運送約款を作成し、認可を受ける必要があります。
そのため、第一種貨物利用運送事業を検討するときには、登録申請だけでなく、どの利用運送約款を使用するのかも事前に確認します。
弊所では、標準利用運送約款をそのまま使用できない事業について、独自の利用運送約款を作成し、約款認可を伴う第一種貨物利用運送事業の登録手続を行った実績があります。
登録申請に必要となる主な書類
法人の場合、申請内容に応じて主に次のような書類を準備します。
- 第一種貨物利用運送事業登録申請書
- 事業の計画
- 利用する運送事業者との契約関係を確認する書類
- 営業所等に関する書類
- 保管施設を使用する場合の関係書類
- 定款
- 登記事項証明書
- 貸借対照表等の財産的基礎を確認する書類
- 役員関係書類
- 欠格事由関係書類
法人・個人、保管施設の有無、事業内容等によって必要書類は異なります。
申請から登録までの流れ
まず、申請書を作り始める前に事業スキームを整理することが重要です。
事業スキームを整理
↓
第一種登録が必要か確認
↓
登録要件を確認
↓
利用する運送事業者との契約関係を整理
↓
利用運送約款を確認
↓
申請書・添付書類を準備
↓
第一種貨物利用運送事業登録申請
↓
運輸局による審査・補正
↓
登録
関東運輸局の処理方針では、第一種貨物利用運送事業の新規登録の標準処理期間は2~3か月です。
ただし、補正や他の地方運輸局への照会等が必要な場合には、さらに期間を要することがあります。
登録後には登録免許税90,000円を納付します。
登録後にも必要な手続があります
第一種貨物利用運送事業は、登録を受ければ手続がすべて終了するわけではありません。
運賃・料金に関する届出のほか、事業報告書・事業実績報告書の提出が必要です。
毎年の報告
事業報告書:毎事業年度終了後100日以内
事業実績報告書:毎年4月1日から翌年3月31日までの実績について7月10日まで
の提出が必要です。
2026年4月から追加された義務にも注意
2026年4月1日から、貨物利用運送事業者についても制度が強化されています。
貨物利用運送事業者には、荷主との運送契約や委託先への運送委託について、書面交付に関する義務があります。
また、元請としてトラックを利用する貨物利用運送事業者については、実運送体制管理簿の作成義務があります。
さらに、前年度のトラック利用運送量が100万トンを超える貨物利用運送事業者には、運送利用管理規程の作成や運送利用管理者の選任などの義務があります。
そのため、第一種貨物利用運送事業は「登録を取れば終わり」ではなく、登録後の運用まで含めて管理することが重要です。
島岡和雄行政書士事務所の申請サポート
島岡和雄行政書士事務所では、埼玉県を中心に第一種貨物利用運送事業の登録申請をサポートしています。
単に申請書を作成するだけではなく、
「そもそも第一種貨物利用運送事業の登録が必要なのか」
という事業スキームの確認から、営業所、財産的基礎、利用する運送事業者との契約関係、利用運送約款まで確認したうえで申請準備を進めます。
また、標準利用運送約款をそのまま使用できない事業について、独自の利用運送約款を作成し、約款認可を伴う登録手続を行った実績もあります。
サポート料金
保管施設なし:165,000円(税込)~
保管施設あり:220,000円(税込)~
登録免許税90,000円は別途必要です。
よくある質問
第一種貨物利用運送事業にはトラックが必要ですか?
第一種登録のために、自社トラックを保有することが要件となっているわけではありません。実際の運送は実運送事業者が行います。
一般貨物事業者が他の運送会社に全部運ばせたら第一種ですか?
全部か一部かという割合だけでは判断しません。
一般貨物自動車運送事業者が別のトラック事業者の実運送を利用する場合には、貨物利用運送事業法第19条の適用除外となります。
重要なのは、外注割合ではなく、誰がどの立場で誰の運送を利用しているのかです。
第一種貨物利用運送事業には保管施設が必ず必要ですか?
必ず必要ではありません。保管施設を必要とする事業を行う場合に、その施設について要件を確認します。
資本金300万円以上必要ですか?
すべての法人について、一律に資本金300万円以上が必要というわけではありません。
第一種貨物利用運送事業で求められる財産的基礎は、基準資産額300万円以上です。
既存法人については、原則として直近事業年度の貸借対照表等をもとに確認するため、資本金が300万円未満でも、基準資産額が300万円以上であれば要件を満たすことができます。
一方、新設法人や設立後まだ決算を迎えていない法人については、出資の状況や開始貸借対照表等によって確認されるため、設立時の資本金額が実質的に重要になる場合があります。
登録までどのくらいかかりますか?
関東運輸局の処理方針では、第一種貨物利用運送事業の新規登録の標準処理期間は2~3か月です。
補正や他の地方運輸局への照会等が必要な場合には、さらに期間を要することがあります。
登録後にはどのような手続が必要ですか?
運賃・料金関係の届出、毎年度の事業報告書、毎年の事業実績報告書などがあります。
また、2026年4月からは書面交付に関する義務等もあります。元請としてトラックを利用する場合には実運送体制管理簿、一定規模を超える場合には運送利用管理規程・運送利用管理者についても確認が必要です。
まとめ|「全部外注かどうか」だけで判断しない
第一種貨物利用運送事業について最初に確認すべきなのは、外注する割合ではありません。
誰が荷主から運送を引き受けるのか
誰の運送を利用するのか
利用する相手が実運送事業者なのか、貨物利用運送事業者なのか
という事業スキームを確認することが重要です。
特に、
一般貨物A → 一般貨物B(実運送)
と、
一般貨物A → 第一種貨物利用運送B → 一般貨物C(実運送)
では、適用される制度が異なります。
「全部外注だから第一種」「一部自社便だから貨物自動車利用運送」と単純に判断せず、事業者同士の関係と適用法令を確認してから手続を進めることが重要です。
第一種貨物利用運送事業のご相談・お問い合わせ
第一種貨物利用運送事業の登録が必要かどうかの確認や、登録申請についてご相談ください。

