トレーラー・ダンプで一般貨物新規許可を取る際の注意点|5両要件・車庫・緑ナンバーを解説
トレーラーやダンプを使って運送事業を始める場合も、一般貨物自動車運送事業の許可を取得することはできます。
ただし、通常のトラックによる新規許可と比べて、車両の数え方や車庫の確認などで注意したいポイントがあります。
特にトレーラーでは、
「トレーラーヘッドが5台あれば5両要件を満たすのか?」
「シャーシは何台必要なのか?」
「ヘッドとシャーシを置ける面積があれば車庫として使えるのか?」
といった問題があります。
一方、ダンプでは、
「白ナンバーダンプを緑ナンバーにしたい」
「ダンプ1台だけでも一般貨物の許可を取れるのか?」
「そもそも今行っている運搬に一般貨物の許可が必要なのか?」
というところから確認しなければならない場合があります。
この記事では、トレーラー・ダンプで一般貨物自動車運送事業の新規許可を取得する際に、特に注意しておきたいポイントを運送業専門行政書士が解説します。
トレーラー・ダンプでも一般貨物新規許可は取れる?
トレーラーやダンプだから一般貨物の許可が取れない、ということはありません。
一般貨物自動車運送事業の新規許可では、主に次のような要件を確認します。
- 営業所
- 休憩(睡眠)施設
- 車庫
- 事業用自動車
- 運転者
- 運行管理者
- 整備管理者
- 資金
- 法令試験
- 損害賠償能力
- 法令遵守
これらの基本的な許可要件は、通常のトラックでも、ダンプでも、トレーラーでも共通しています。
ただし、車種によって特に注意すべき点があります。
ダンプでは「その運搬に一般貨物の許可が必要なのか」。
トレーラーでは「牽引車(ヘッド)と被牽引車(シャーシ)を最低車両台数上どのように数えるのか」。
まず、この2点を整理しておきましょう。
ダンプは必ず一般貨物の許可が必要?
最初に重要なのが、
「ダンプを使用している=一般貨物の許可が必要」ではない
ということです。
貨物自動車運送事業法では、他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業について規制しています。
一方、自社の事業に付随して自社の貨物等を運搬する場合など、一般貨物自動車運送事業の許可を必要としないケースもあります。
2026年には、国土交通省から自家用ダンプカーについて貨物自動車運送事業法上の取扱いが改めて示されています。国土交通省も、今回の取扱いは従来の違法な「白トラ」の考え方そのものを変更したものではなく、建設現場等で混乱が生じないよう取扱いを明確化したものと説明しています。
白ナンバーダンプでも許可が不要となる場合がある
例えば、建設会社が自ら行う工事に必要な資材等を、雇用関係にある自社の従業員が自社業務の一環として運搬するケースなどでは、一般貨物の許可を必要としない場合があります。
国土交通省の2026年3月31日時点のQ&Aでも、建設工事を行う者の従業員が、その工事で発生する残土等を運搬する場合などについて、運送の対価としての有償性等を踏まえた考え方が示されています。
したがって、
「白ナンバーだから違法」
あるいは、
「ダンプならすべて緑ナンバーにしなければならない」
と一律に判断するものではありません。
他人の貨物を有償で運送する場合は注意
一方で、建設工事そのものを行わず、他人から依頼を受け、その貨物を有償で運送するのであれば、一般貨物自動車運送事業の許可が必要となる可能性があります。
国土交通省のQ&Aでも、残土等を運搬する者が建設工事を行わず、他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する場合には許可が必要との考え方が示されています。
そのため、
- 誰の貨物を運んでいるのか
- 誰から運搬を依頼されているのか
- 運搬に対して対価を受け取っているのか
- 工事等の本来業務と運搬との関係はどうなっているのか
など、実際の契約内容や業務実態から判断することが重要です。
なお、2026年8月20日にも、国土交通省から建設工事において建設資材等の運搬に従事する自家用ダンプカーについて新たな通知が出されています。ダンプについては現在、特に注意しておきたい分野です。

ダンプ1台だけを緑ナンバーにできる?
「元請から緑ナンバーにするように言われたので、今持っているダンプ1台を緑ナンバーにしたい」
というケースも考えられます。
しかし、ここで注意が必要です。
通常の一般貨物自動車運送事業では、原則として営業所ごとに5両以上の事業用自動車を配置する必要があります。
そのため、一般貨物の許可を持っていない事業者が、
「白ナンバーのダンプ1台だけを緑ナンバーへ変更する」
という単純な手続ではありません。
一般貨物の新規許可を取得するのであれば、車両だけではなく、営業所、車庫、運転者、運行管理者、整備管理者、資金などの許可要件を満たす必要があります。
個人事業主でも一般貨物の許可は取れる
法人でなければ一般貨物の許可を取れないわけではありません。
個人事業主でも許可申請は可能です。
ただし、個人事業主であっても通常の一般貨物であれば、原則5両以上という最低車両台数をはじめ、必要な許可要件を満たす必要があります。
「現在ダンプを1台しか持っていない」という場合には、その1台をどうやって緑ナンバーにするかではなく、一般貨物運送事業としてどのような事業計画を作るかというところから考える必要があります。
トレーラーで一般貨物新規許可を取る場合の5両要件
トレーラーで一般貨物新規許可を申請する場合、特に注意したいのが最低車両台数の数え方です。
計画車両に牽引車と被牽引車を含む場合、
「牽引車+被牽引車」を1両として最低車両台数を算定する
という取扱いになります。現在の運輸局の案内でも、この算定方法が明示されています。
つまり、トレーラーでは単純に、
「車検証が何枚あるか」
だけで5両要件を判断するものではありません。
ヘッドとシャーシをセットで考える
例えばセミトレーラーで運送事業を行うのであれば、
- 牽引車(トラクタ・ヘッド)
- 被牽引車(トレーラー・シャーシ)
という組合せになります。
最低車両台数を検討するときには、ヘッドだけを見るのではなく、実際にどのようなヘッドとシャーシの構成で事業を行うのかを確認することが重要です。
海上コンテナ輸送を予定している場合も同様です。
「ヘッドを5台用意したから一般貨物の5両要件は大丈夫だろう」
と車両を先に契約するのではなく、申請する車両計画全体を確認してから購入・リースを進めることをおすすめします。

トレーラーのヘッド・シャーシは使用権原にも注意
一般貨物の新規許可では、計画する事業用自動車について、申請者が使用する権原を有していることが必要です。
トレーラーの場合は、ヘッドだけを確認して終わりではありません。
ヘッドとシャーシそれぞれについて、所有関係や契約関係を確認する必要があります。
自社所有であれば車検証等を確認し、購入予定であれば売買契約、リースであればリース契約など、車両計画に応じた確認が必要になります。
リース車両は契約名義にも注意
特に注意したいのがリース契約です。
例えば、一般貨物の申請者が法人であるにもかかわらず、リース契約の借主が代表者個人になっていると、申請者である法人がその車両を使用できる権原を有しているのかという問題が生じます。
また、車検証上の所有者と契約書上の所有者等が異なる場合なども、その関係を確認しておく必要があります。
車両を契約した後に問題が分かると、契約の変更などが必要になる可能性があります。
そのため、トレーラーを購入・リースする場合は、できるだけ正式契約前に一般貨物の許可要件と整合しているか確認しておくことが重要です。
トレーラー・ダンプの車庫は特に注意が必要
トレーラーや大型ダンプで新規許可を取る場合、特に慎重に確認したいのが車庫です。
一般貨物の車庫は、計画する事業用自動車をすべて収容できることが必要で、車両相互間や車両と車庫境界との間隔などについても基準があります。
しかし、トレーラーの場合は、単純に車庫の面積だけを見て判断するのは危険です。
トレーラーの車庫は「面積」だけでは判断できない
トレーラーでは、ヘッド(牽引車)とシャーシ(被牽引車)を含め、計画する車両を実際に収容できる車庫であるかを確認する必要があります。
ここで重要なのが、
「車庫が○○㎡あるから大丈夫」
と面積の数字だけで判断しないことです。
確認したいのは、
- 実際のヘッド・シャーシの寸法
- 車庫全体の形状
- 車両をどのように配置するか
- 車庫の出入口
- トレーラーが進入・退出できるか
- 旋回・転回に必要なスペースを確保できるか
などです。
関東運輸局の車庫収容能力に関する様式でも、普通車38㎡、牽引車27㎡、被牽引車36㎡などの所要面積が示されていますが、これらは「参考値」とされています。また、車庫面積に余裕がない場合には、車両明細書や車両配置図を添付する取扱いが示されています。
つまり、参考値による面積計算だけで車庫の可否を機械的に判断するものではありません。
トレーラーの場合は特に、実際に使用する車両と候補地を照らし合わせて確認することが重要です。
大型ダンプも車庫の出入口・前面道路に注意
大型ダンプについても同様です。
車庫そのものに十分な広さがあっても、前面道路や出入口に問題があれば、一般貨物の車庫として使用できない可能性があります。
一般貨物の許可基準では、車庫の前面道路について、原則として幅員証明書等により車両制限令に適合することが求められています。
大型ダンプやトレーラーでは車両寸法も大きいため、車庫の広さ・前面道路・出入口を一体として確認することが重要です。

トレーラー・ダンプの資金計画にも注意
一般貨物新規許可では、事業開始に必要となる資金を計算し、それに対応する自己資金を確保する必要があります。
トレーラーや大型ダンプは車両価格が高額になりやすいため、車両計画によっては必要資金も大きくなります。
特にトレーラーでは、ヘッドだけではなくシャーシ側の費用も忘れないことが重要です。
購入車両であれば取得価格等、リース車両であればリース料を資金計画へ反映します。
そのほか、
- 営業所・車庫の賃料
- 人件費
- 燃料費
- 修繕費
- 保険料
- 税金
- その他の運転資金
なども含めて資金計画を作成します。
リース車両の場合は、リース料の1年分を資金計画に計上する点にも注意が必要です。
許可後にシャーシやダンプを増車することはできる?
一般貨物自動車運送事業の許可を取得した後に、事業用自動車を増車することは可能です。
ただし、
「許可後に増やせるから、新規許可のときは車両計画をあまり考えなくてもよい」
ということではありません。
新規許可時には、その時点の事業計画で許可基準を満たしている必要があります。
また、許可後にシャーシやダンプを増車するときも、
- 増車後の車庫収容能力
- 車両の使用権原
- 車検証
- 必要となる届出等
- 事業用自動車としての登録
などを確認する必要があります。
特にトレーラーでは、将来的にシャーシを増やす予定があるのであれば、その増車まで考えて車庫を選んでおくと、その後の事業展開がしやすくなります。
トレーラー・ダンプで新規許可を取る前に確認したい10項目
トレーラーやダンプで一般貨物新規許可を検討している場合は、車両や車庫を契約する前に、少なくとも次の点を確認しておきましょう。
- 現在または予定している運搬に一般貨物の許可が必要か
- 営業所ごとの最低車両台数を満たせるか
- トレーラーの場合、ヘッド・シャーシを含めた車両計画が適切か
- 車両の所有・リース等の使用権原を確認できるか
- 計画するすべての車両を収容できる車庫か
- 車庫の出入口・前面道路・車両の取り回しに問題がないか
- 必要な運転者を確保できるか
- 運行管理者・整備管理者を確保できるか
- 車両費を含めた必要資金を確保できるか
- 法令試験を含め、申請から運輸開始までのスケジュールを組めるか
トレーラーや大型ダンプは車両への投資額が大きくなりやすいため、車両を購入・リースしてから許可要件を調べるのではなく、契約前に確認することが特に重要です。
トレーラー・ダンプの一般貨物新規許可でよくある質問
Q.ダンプ1台だけを緑ナンバーにできますか?
一般貨物の許可を持っていない事業者が通常の一般貨物自動車運送事業を新たに始める場合、原則として営業所ごとに5両以上の事業用自動車が必要です。
そのため、「現在所有している白ナンバーのダンプ1台だけを緑ナンバーに変更する」という単純な手続ではありません。
Q.個人事業主でもダンプの一般貨物許可を取れますか?
個人事業主でも一般貨物自動車運送事業の許可申請は可能です。
ただし、個人・法人を問わず、車両、営業所、車庫、人員、資金などの許可要件を満たす必要があります。
Q.白ナンバーダンプは違法ですか?
白ナンバーであることだけを理由に直ちに違法となるわけではありません。
一般貨物の許可が必要かどうかは、誰の需要に応じた運送なのか、有償なのか、本来の事業との関係はどうなっているのかなど、実際の業務内容から判断する必要があります。
Q.トレーラーヘッドが5台あれば5両要件を満たしますか?
トレーラーを計画車両とする場合、最低車両台数は牽引車+被牽引車を1両として算定します。
そのため、ヘッドの台数だけではなく、シャーシを含めた車両計画を確認する必要があります。
Q.シャーシは自社所有でなければいけませんか?
必ずしも自社所有でなければならないわけではありません。
ただし、申請者がその車両を事業用自動車として使用できる権原を有している必要があります。
Q.リースのトレーラーでも一般貨物の新規許可を申請できますか?
申請できます。
ただし、リース契約の名義、契約期間、車検証の所有者・使用者などを確認し、申請者の使用権原を確認できる状態にしておく必要があります。
Q.トレーラーの車庫はヘッドとシャーシの面積を足せば判断できますか?
面積の計算だけで判断するのはおすすめできません。
実際の車両寸法、車庫形状、配置、出入口、進入・退出や旋回に必要なスペースなども含めて確認する必要があります。
Q.許可後にシャーシを増やせますか?
増車することは可能です。
ただし、増車後の車庫収容能力や使用権原などを確認し、必要な手続を行う必要があります。
まとめ|トレーラー・ダンプの新規許可は車両・車庫を契約する前の確認が重要
トレーラーやダンプでも、一般貨物自動車運送事業の新規許可を取得することはできます。
ただし、通常のトラックとは異なる注意点があります。
特に重要なのは、ダンプでは、まず一般貨物の許可が必要な運搬なのかを確認すること。
そしてトレーラーでは、ヘッドとシャーシを含めた車両計画と、実際にその車両を収容・出入りさせることができる車庫なのかを確認することです。
さらに、車両の使用権原、前面道路、必要資金、運転者、運行管理者・整備管理者など、一般貨物新規許可全体の要件を満たさなければなりません。
トレーラーや大型ダンプは車両への投資額も大きくなります。
「車両を契約してから考える」「車庫を借りてから調査する」のではなく、購入・リース・賃貸借契約をする前に許可要件を確認することが重要です。
トレーラー・ダンプで一般貨物新規許可を検討している方へ
島岡和雄行政書士事務所では、一般貨物自動車運送事業の新規許可について、営業所・車庫・車両を契約する前の段階からご相談いただけます。
トレーラーの場合、
「ヘッドとシャーシを何台用意すればよいか」
「現在予定している車両構成で申請できるか」
「リース契約の内容に問題がないか」
「この土地をトレーラーの車庫として使用できるか」
といった段階から確認することができます。
ダンプの場合も、
「現在の運搬に一般貨物の許可が必要なのか」
「ダンプ1台しかないが一般貨物へ参入したい」
「元請から緑ナンバーを求められている」
といった段階からご相談ください。
一般貨物新規許可では、車両・営業所・車庫の契約を先に進めてしまうと、後から許可要件に合わないことが分かり、契約変更や計画のやり直しが必要になる場合があります。
許可申請だけでなく、営業所・車庫の事前調査、車両計画、資金計画、法令試験対策、許可後の運行管理者・整備管理者の選任・届出、事業用自動車の登録、運輸開始までサポートしています。
埼玉県を中心に一般貨物自動車運送事業の新規許可を検討されている方は、車両や物件を正式に契約する前にご相談ください。

